米上院は1日、2019会計年度(18年10月~19年9月)の国防予算の大枠を定める国防権限法案を可決した。法案は7月に下院を通過済みで、トランプ大統領の署名で成立する。
予算総額は、アフガニスタンなどでの戦費を含め約7170億ドル(約80兆3000億円)。「米軍再建」を訴えるトランプ氏の意向を反映し、過去9年間で最大規模となった。
法案は、ロシアや中国による戦略兵器の増強や北朝鮮の核・弾道ミサイルの脅威を視野に、核抑止力を「米国の安全保障の礎石」と位置づけ、核戦力体制の近代化を進めるとした。
弾道ミサイル防衛分野でも、在韓米軍司令官の要請に応え、低高度迎撃用のパトリオット・ミサイルと高高度防衛ミサイル(THAAD)の統合運用を進めることが盛り込まれた。
また、中国関連では、全ての米政府機関や米政府と取引のある企業・団体に対し、中国通信機器大手「中興通訊」(ZTE)や「華為技術」(ファーウェイ)など中国政府とつながりのある企業の製品を使うことを禁止した。
さらに、中国による南シナ海の軍事拠点化などをにらみ、国防長官に「インド太平洋地域の安定化」に向けた軍備拡充の5カ年計画の提出を義務づけた。