【専欄】最強!“幼なじみ”の絆 ノンフィクション作家・青樹明子 (1/2ページ)

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 先日北京を訪れた際、友人から絵画展に誘われた。友人の一人娘、小学4年生のお子さんの作品展である。幼稚園時代の友人との共催で、つまり“二人展”だ。物心ついた頃から絵画教室に通っていたというキャリアの長さもあり、作品のレベルの高さは小学4年生とは思えない。中国・一人っ子の底力を見たような気がした。

 二人展のタイトルは「発小児」。聞きなれない単語だったが、北京の方言で「幼なじみ」の意味だという。発小児は近年とみに注目されている。「発小児無くして北京は語れない」「幼い頃からともに育った友・発小児は生涯の宝である」等々、頻繁に登場する言葉だ。

 一人っ子政策の影響で、兄弟姉妹がいない子供たちにとって、幼稚園や小学校時代の友人は、すでに家族同然である。問題は、中国と日本では「友人」の概念が全く異なっている点だ。

 日本では「親しき仲にも礼儀あり」で、一定の距離を保つのが、友人関係の基本である。迷惑をかけないことが、長く付き合うコツであり、特に「金銭の貸し借り」は「人間関係を壊す」と考える。しかし、中国は真逆である。友達のためなら、自分の身を犠牲にするのが美徳と考える。

 中国人コラムニスト張石氏は、自らのコラムでその実例を挙げている。

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