G20 貿易摩擦、参加各国が懸念 中国通貨政策の透明化要求

 アルゼンチン・ブエノスアイレスで開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は21日夕(日本時間22日午前)、米国の輸入制限などで激化する貿易摩擦について議論し初日の討議を終えた。麻生太郎財務相が自由貿易の重要性を改めて強調するなど、ほぼすべての出席者から貿易摩擦を懸念する発言が出た。一方、人民元相場の下落傾向をめぐり麻生氏は、通貨政策の透明化を中国に求めた。

 初日の会議で、麻生氏は「保護主義的な政策はどの国の利益にもならない」と指摘。「自由で公正なルールに基づく貿易を通じて世界経済の成長を高めていくことが重要」と主張した。貿易不均衡についても「2国間ではなくて多国間で解決すべきものだ」と呼び掛けた。

 また、最近、元が下落している背景について中国側に説明を要求。米国との貿易摩擦の激化を受けて輸出競争力を維持しようと意図的な切り下げを行っている疑いがあるためだが、中国側は否定したという。元をめぐっては、トランプ米大統領も自身のツイッターで「通貨を操作し、金利を低くしてきた」などと批判している。

 麻生氏は21日、フランスのルメール経済・財務相と来年日本で開催するG20などについて個別に会談。イタリアのトリア経済・財務相とも同国の経済政策をめぐり意見交換した。G20会議は2日目の22日、貿易摩擦のほか仮想通貨を用いたマネーロンダリング(資金洗浄)対策などについても議論し、同日午後(日本時間23日未明)に共同声明を採択して閉幕する。(ブエノスアイレス 蕎麦谷里志)