米輸入制限、対中22兆円制裁の品目リスト公表 衣料品含め約6千品目、9月以降発動へ

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権は10日、米国の対中制裁に報復で応じた中国に対抗し、中国からの2千億ドル(約22兆2千億円)相当の輸入品に10%の関税を上乗せする追加制裁を発表した。対象品リストの原案には6031品目が並び、水産品やバッグ、家電部品などが盛り込まれた。米国は9月以降にも発動する方針だ。

 中国の反発は必至で、米中が報復を応酬させる「貿易戦争」が本格化する公算が大きくなってきた。

 米国は6日、中国の知的財産侵害を理由に、約1100品目、500億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課す制裁を段階的に発動した。2千億ドル相当の追加制裁が発動されれば、昨年の中国からの輸入額(約5050億ドル)のほぼ半分に相当する物品が制裁対象となる異例の事態となる。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は10日の声明で、関税対象額を大幅に積み増す追加制裁について、「中国が(不公正な)慣行を改めず報復に出た結果だ」と指摘。500億ドル相当の対中制裁に中国が同等の報復を即日実施したことを批判した。

 USTR高官は10日、報道陣に「中国が米国の懸念に真剣に対応する考えがない」と語った。500億ドル相当の制裁では、中国のハイテク産業育成策「中国製造2025」が重視する情報通信や航空機などを主な対象だったが、今回の追加制裁は「中国に圧力をかける」(USTR高官)狙いから、タバコなどの日用品も対象に含めた。「8月末までに公聴会などの手続きを終え、最終的な品目リストを確定する」(同)としている。