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トランプ米政権が対中制裁を発動したのは、中国政府に知的財産侵害を抜本的に改める意思がないとみているためだ。中国はロボットやAI(人工知能)などのハイテク産業の育成策「中国製造2025」に取り組んでいる。米政権は、補助金を投じ、次世代産業の競争力で米国に並び立とうとする中国を、関税という強硬策を使い、力ずくで押さえ込む狙いもある。
「関税を発動するのは(米国の富が)かすめ取られてきたからだ」。トランプ大統領は5日の演説でこう述べ、対中制裁を実施する意義を強調した。
米国が中国製品を対象に6日に発動した制裁は、ロボットや情報通信関連の製品・部品といったハイテク分野が中心となった。中国の習近平国家主席の肝煎りで策定された「中国製造2025」が重視する産業分野の発展に向けて、鍵を握る製品が含まれている。
米通商法301条に基づく制裁措置は、米通商代表部(USTR)が実施した中国の貿易をめぐる実態調査を基に発動が決定された。200ページ超の調査報告書は、中国で事業展開する米企業が技術移転を強要されたり、米企業の買収を通じて知財が中国側に窃取されていると指摘した。