日本や中国、台湾など8カ国・地域が北太平洋のサンマの資源管理を話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が3日、東京都内で始まった。不漁が長引き、資源の枯渇を懸念する日本は国・地域別の漁獲量に上限を設定する規制案を示し、賛同を求める。ただ中国は数量規制に反発してきた経緯があり、合意のハードルは高い。
水産庁の長谷成人長官は会合で、東日本大震災の津波で被害を受けた漁村地域の振興を進める上でもサンマ資源は重要だと強調し「NPFCが早急に適切な資源管理措置を導入することを強く望んでいる」と述べた。
また、公海での違法漁業対策も主要議題となっており、取締船による乗船検査の強化についての議論を詰める。会合は非公開で、5日に議論の結果を発表する。NPFCはロシアや韓国、バヌアツ、米国、カナダも参加。昨年も日本が数量規制の導入を求めたが、中国などが反対した。
NPFCへの報告によると2017年の日本のサンマ漁獲量は8万5000トンで、ほぼ半世紀ぶりの低水準に落ち込んだ。台湾は10万7000トン、中国は4万8000トンを取った。近年、中国や台湾の漁船が日本近海に向かうサンマが泳ぐ公海で操業を活発化させ、日本は公海での乱獲による資源減少への危機感を強めている。
日本は今年の提案では、昨年示した国・地域別の漁獲上限値は盛り込まず、数量規制を設けるという点で見解の一致を目指す。
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【用語解説】日本のサンマ漁
集魚灯で群れをおびき寄せ、長い棒に取り付けられた網に誘い込む「棒受け網漁」が主流で、主な漁期は8~12月。サンマは回遊魚で、公海でえさを取って成長した群れが日本近海を南下するのに合わせて北海道、東北、千葉県の沖が中心的な漁場となる。北太平洋漁業委員会への報告によると、日本の漁獲量は2000年から12年の間に20万トンを上回って推移した後、15年以降に低迷が鮮明になり、17年は10万トンを割り込んだ。