政府が、物価変動の影響を除いた2019年度の実質経済成長率予測を1%台とする方針を固めたことが1日、分かった。今年4月時点で0.8%としていた日銀予測を上回る、高い成長率を見込む。19年10月の消費税増税で、経済は一定の落ち込みが予想されるが、アベノミクスの効果による設備投資や雇用の好調、世界経済の成長を背景とする輸出増が下支えになる見通しだ。
政府は今月上旬の経済財政諮問会議で、経済見通しの「年央試算」を示す。その中で参考試算として、19年度の成長率予測を初めて公表する。
19年度は消費税率の10%への引き上げで、個人消費の下押しといった悪影響が出る見通し。これを踏まえ、日銀は今年4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、19年度の実質国内総生産(GDP)の成長率が0.8%に減速すると予想していた。民間シンクタンクも、1%未満の同程度の成長率を見込んでいる。
ただ、足元の日本経済は、景気回復よる人手不足を背景に、雇用環境の改善や省力化のための設備投資が進んでいる。
5月の有効求人倍率は1.60倍で1974年1月以来の高水準。完全失業率は2.2%で、92年10月以来の低さだった。設備投資も堅調さが続くとみられ、今年4月の機械受注統計では、民間企業の数カ月先の設備投資を占う受注額が前月比10.1%増と、2008年6月以来の高水準になった。