日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が1日、東京都内で開かれ、年内の大筋合意を目指すことで一致した。会合後に発表された共同声明には「一方的な行為や報復により、国際貿易環境が深刻な危機にさらされている」との文言が盛り込まれ、トランプ米政権の保護主義的な姿勢への批判が示された。
共同声明は年末に「成果のパッケージを達成する」とし、8月末の次回閣僚会合までの進展を交渉官に求めた。11月にも開催予定の首脳会談での合意を目指す。18ある交渉対象分野のうち2分野は合意済み。今回の会合ではさらに、電子商取引と知的財産、税関手続き・貿易円滑化の3分野で進展があった。足かけ5年超にわたる交渉は妥結に向け急速に進展しそうだ。
RCEPが実現すれば世界の人口の約半分、国内総生産(GDP)と貿易額の約3割を占める巨大な経済圏が誕生する。閣僚会合の冒頭に参加した安倍晋三首相は「この潜在力を大きく開花させることができれば、さらなる繁栄を享受できるはずだ」と訴えた。
日本は昨年末の欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)妥結に続き、6月には米国を除く11カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)の国内手続きをほぼ終えた。RCEP交渉はこれらに続く“大仕事”で、早期実現により世界の自由貿易体制づくりをリードしたい考えだ。
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【用語解説】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国と日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インドの16カ国で交渉中の経済連携協定。実現すれば世界の約半分の人口、国内総生産(GDP)で世界の約3割を占める広域経済圏となる。