米国を除く11カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)の議論を主導してきた日本が国内手続きをほぼ終えたことで、発効に向けた機運が一気に高まりそうだ。TPP11は年内にも発効される見通しで、貿易・投資の拡大によりGDPが押し上げられ、大きな経済効果が見込まれる。その恩恵は、企業活動や暮らしのさまざまな範囲に及びそうだ。
TPP11は工業製品の関税撤廃・引き下げ、投資、知的財産権保護、電子商取引など幅広い分野のルールを定めている。日本企業にとっては輸出や海外事業展開を拡大する上での追い風となることが期待される。
日本の代表的な輸出品である自動車は、カナダの関税(現在6・1%)が協定発効から5年目に撤廃される。ベトナムは現在、大型車に70%の高関税を設定しているが10年目にはゼロになる。自動車メーカーが域内で部品を調達すれば、生産コストの削減にもなる。
流通などサービス分野が受けるメリットも大きい。ベトナムでは協定発効から5年後に、スーパーやコンビニエンスストアの出店に関する細かい規制が廃止される。マレーシアでも、コンビニへの外資規制が緩和される。