ニホンウナギ、養殖用稚魚の上限据え置き 国際会合、中国は欠席

ニホンウナギの稚魚の漁獲量を増やそうと、親ウナギが放流されている=静岡県浜松市の浜名湖
ニホンウナギの稚魚の漁獲量を増やそうと、親ウナギが放流されている=静岡県浜松市の浜名湖【拡大】

 水産庁は8日、枯渇が懸念されるニホンウナギに関し、今年11月から1年間の来漁期に養殖池へ入れられる稚魚(シラスウナギ)の上限が21.7トンになると発表した。数量は5年続けて同じ。東京都内で7日から開いた台湾、韓国との国際会合で合意した。これまでの規制にもかかわらず日本は稚魚の不漁が深刻で、資源保護に向けた実効性が問われている。

 3カ国・地域は科学的根拠に基づく新たな資源管理措置の導入を協議し、来年3月ごろの合意を目指すことでも一致した。

 ただ、規制の枠組みに入っている中国は4年続けて欠席した。規制強化を嫌がったとみられ、会合の形骸化が心配される。

 日本と中韓台は、2014年11月に始まった漁期から、池に入れる量をその直前に対し2割減らす規制を続けてきた。日本は必要なシラスウナギを国内で賄えず、輸入魚を含め養殖池で育てて出荷しているが、昨年11月~今年4月に池に入れたのは合わせて14トン。昨年の同時期より約3割少なく、規制上限を大きく下回る。シラスウナギの取引価格は上昇傾向だ。

 水産庁によると、国際会合では規制の厳格化を求める意見と慎重論の双方があり、新たな資源管理策を探ることになった。まず科学者らが9月に協議するが、不漁の原因や資源状況の把握が難しい面もあり、合意形成は簡単ではなさそうだ。

 来年5~6月開催予定のワシントン条約締約国会議では、ニホンウナギの国際取引の制限が議論される可能性もある。