【ビジネスアイコラム】G7分裂は中国に漁夫の利 膨張抑止で結束、ルール破りに厳格対応 (1/3ページ)

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 8日から2日間、カナダ・ケベック州で先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。鉄鋼・アルミなどの輸入制限を発動した米国に対して欧州が強く反発し、トランプ米大統領が孤立しかねない情勢だが、G7が仲間割れする場合ではない。G7が対峙(たいじ)すべきは中国である。安倍晋三首相は結束に向け、仲立ちできるかが問われる。

 正論をぶったのは麻生太郎財務相である。先週末カナダで開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、中国を名指しに「ルールを無視していろいろやっている」と批判し、G7は協調して中国に対し国際ルールを守るよう促す必要があるとの認識を示した。その上で、世界貿易機関(WTO)に違反するような米輸入制限はG7の団結を損ない、ルールを軽視する中国に有利に働くと、米国にも注文をつけた。

 実際に、中国は「自由貿易ルール違反のデパート」である。知的財産権侵害は商品や商標の海賊版、不法コピーからハイテクの盗用まで数えればきりがない。おまけに、中国に進出する外国企業には技術移転を強要し、ハイテク製品の機密をこじ開ける。共産党が支配する政府組織、金融機関総ぐるみでWTOで禁じている補助金を国有企業などに供与し、半導体、ITなどを開発する。習政権が2049年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」は半導体などへの巨額の補助金プログラムだらけだ。

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