PB黒字化目標、5年先送り 政府「骨太」素案 弱体財務省モノ言えず

経済財政諮問会議に臨む(手前から)安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官=5日午後、首相官邸(春名中撮影)
経済財政諮問会議に臨む(手前から)安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官=5日午後、首相官邸(春名中撮影)【拡大】

 政府は5日の経済財政諮問会議で、経済財政運営の指針「骨太方針」の素案を提示した。平成31年10月に消費税率を10%に引き上げる必要性を明記した上で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標を従来の32年度から37年度へ5年間先送りする。社会保障費などの歳出抑制に向けた数値目標の設定は見送った。与党との調整を経て、15日の閣議決定を目指す。

 新たな財政健全化計画では、33年度の中間指標として国内総生産(GDP)比のPB赤字を1.5%程度、財政収支の赤字を3%以下、債務残高を180%台前半と設定。財政健全化目標の達成に向けた取り組みの進捗状況を確認すべきだとした。

 社会保障費をめぐっては、団塊世代が75歳以上の後期高齢者入りする34年度以降に急増が見込まれていることから、31~33年度を経済財政の「基盤強化期間」と位置づけた。ただ、32、33年度は終戦前後で出生数の少なかった世代が後期高齢者入りする時期で一時的に社会保障費の伸びが鈍化することから、基盤強化期間の社会保障費抑制の数値は示さず、「高齢化による増加分に相当する伸びに収める」とするにとどめた。

 消費税率10%への引き上げに向けては駆け込み需要・反動減といった需要変動を抑えるため31、32年度の当初予算で「臨時・特別の措置」による景気対策を実施。住宅や自動車の購入を支援する減税策を検討し、軽減税率導入の準備も進める。幼児教育・保育の無償化は31年10月の消費税増税と同時に一括実施する。

 人手不足の克服に向けては、人工知能(AI)活用などによる生産性向上や女性・高齢者の就業促進に加え、外国人の就労を拡大するための新たな在留資格を創設する。