予算配分を取り仕切り「最強官庁」と称される財務省が“満身創痍(そうい)”だ。今国会では学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる決裁文書の改竄(かいざん)問題やセクハラ問題で集中砲火を浴び、事務次官、国税庁長官の「2トップ」不在という異常な事態が続いている。後任の次官人事も本命候補の就任は見送らざるを得ない情勢で、OB人事も含め10年先を見据えて固める「モザイク人事」は限界を迎えている。
「生半可な取り組みでは信頼は取り戻せない」。財務省の幹部が漏らす声は悲痛だ。一連の不祥事が省内に与えた衝撃は大きく、ある有力OBも「政策でならまだしも、『綱紀』の緩みで批判されるとは情けない」と憤りを隠さない。
佐川氏ら処分後発令
森友問題で財務省は、大阪地検の捜査結果を踏まえ、改竄当時に理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官(1982年旧大蔵省入省)ら複数の同局幹部を処分する方針だ。
98年に発覚し、職員から逮捕者や自殺者を出した「旧大蔵省接待汚職事件」以来の大きな不祥事に、与党からも「財務省から国税庁を分離すべきだ」という“解体論”すら上がり始めた。経済成長を優先する安倍晋三政権で経済産業省に比べて「存在感が薄い」(経済官庁関係者)とされる財務省の地位は、さらに揺らぐ可能性もある。