【太陽の昇る国へ】中小企業の繁栄には減税を 幸福実現党党首・釈量子

大阪府東大阪市の中小企業を視察し、説明を受ける安倍晋三首相(右)=4月13日(代表撮影)
大阪府東大阪市の中小企業を視察し、説明を受ける安倍晋三首相(右)=4月13日(代表撮影)【拡大】

 --2018年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値が16日に発表されました

 今回、GDPの実質値が前期比では0.2%減、年率換算で0.6%減となり、9四半期ぶりにマイナス成長に転じました。GDPの約6割を占める個人消費も2四半期ぶりとなるマイナスを記録していますが、各種増税が消費意欲の低下にじわりと影響を及ぼしていると感じています。

 日本はバブル崩壊後、かつての護送船団方式にも象徴される“官僚政治”の行き詰まりに直面してきました。そして、その後遺症からいまだ脱却できていないからこそ、低成長にあえいでいるのではないでしょうか。

 11年に日本からGDP第2位の座を奪った中国ですが、国防費は今や日本に5倍以上の差をつけているとも言われています。経済成長なくして国力、国防力の向上はありません。来年5月には新元号に移行されますが、日本はもう一度チャレンジ精神をもって、“坂の上の雲”を突き抜け、“太陽の昇る国”を目指すべきです。

 具体的には、大胆な減税や徹底的な規制緩和などを行い、企業の黒字化を推進するような環境整備を進めるべきだと思います。これは、結果的に税収増にもつながりますし、国の発展繁栄に直結することと思います。

 --企業の現況をどのように感じますか

 安倍政権下で日経平均株価が一時2万4000円台を記録するなど、緩やかな回復基調を示してきましたが、日本の全企業の99.7%、雇用全体の7割を占める中小企業については、依然として厳しい状態が続いています。14年4月に消費税率が5%から8%に増税され、日本経済は大きなダメージを受けましたが、来年10月に予定されている消費増税を実施すれば、さらに深刻な状況を招きかねません。

 また、政権与党は次の消費増税時に軽減税率を導入するとしています。消費税はそもそも、事務手続き上、複雑な税であるとも言われていますが、これに加えて軽減税率が導入されると、企業の事務負担は一層大きなものとなります。

 中小企業の経営が圧迫されるような事態を避けるためにも、19年10月に予定されている税率10%への増税、および軽減税率の導入は中止すべきです。むしろ、経済の活性化に向けては5%への減税を実施するべきだと考えます。

 マレーシアでは、首相に返り咲いたマハティール氏により、かねて公約として訴えられてきた消費税の廃止が実施されることになっています。消費税減税は多くの中小企業を守るだけではなく、家計の資産防衛にもつながるという意味で最大の福祉政策になると言えるでしょう。日本も今、消費税について大きな決断を行うべき時ではないでしょうか。

 --中小企業の事業承継問題についてはどう考えますか

 まさに今、中小企業の後継者不足が深刻化しており、今後10年で、70歳を超える中小企業の経営者は約245万人。そのうちの約半分の127万人が、後継者未定となっているような状況です。

 経済産業省・中小企業庁の試算によれば、後継者不足をこのまま放置すれば、今後10年で、約650万人分の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると言います。

 事業承継の大きな壁となっているのが、承継の際に課される多額の相続税・贈与税です。経営者が事業を承継する際、後継者が多額の税金を払わなくてはならないことが、事業承継の妨げとなっています。

 08年に創設された事業承継税制により、事業承継の際、一定の条件で相続税・贈与税納税の猶予・免除が認められることになりましたが、条件の厳しさや制度の使い勝手の悪さにより、16年8月時点で同税制の活用認定を受けた数は、相続税が959件、贈与税が626件とわずかに留まっています。

 事業承継制度を使いやすくするため、今年度の税制改正で同制度の要件が緩和されましたが、利用がどのぐらい伸びるのかは未知数です。事業承継を円滑に進めるための抜本的な解決策として、そもそも相続税・贈与税の廃止を推進すべきと考えます。

 総じて、中小企業の活力向上のために、政府は「安い税金」「小さな政府」の実現に向けた取り組みをしっかり進めていくべきだと思います。中小企業が繁栄してこそ、日本経済が元気になったと言えるからです。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。