【専欄】トイレは日本に学べ 中国でおかしな方向へ進んだトイレ革命 (1/2ページ)

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 某日系証券会社は顧客向けに開いたセミナーの席上、業績向上が期待される企業としてトイレ関連業界を推奨したのだそうだ。中国全土で推進される“トイレ革命”で、日本の先進技術が必要とされるからである。

 トイレ革命は習近平国家主席の主導の下、2015年に始まった。汚い・臭いの他、ドア無し、仕切り無しなど、世界中で悪評の高い中国のトイレを改善しようとする運動である。発動後2年余りで、目標を大きく上回る約6万8000カ所のトイレが改修・新設されたという。しかしこのトイレ革命、思わぬ方向へと向かっている。

 重慶市璧山区の公衆トイレは、150平方メートルの敷地に80万元(1386万円)かけて建てられた。自動ドアを抜けて中に入ると、シャンデリアが輝くロビーである。観葉植物が置かれ、壁には絵画の他、液晶テレビが設置されている。室温は26度に保たれ、空気清浄機が作動し、芳香剤が15分ごとに噴射される。公衆トイレとは思えない快適さは“五つ星トイレ”と称されるゆえんである。

 南京市では、博物館のような公衆トイレが話題になった。シャンデリア、液晶テレビ、空調設備は言うまでもない。このトイレの特徴は、トイレ全体が古都の雰囲気を演出していることである。アンティーク家具が置かれ、隅々まで精細な彫刻が施されている。手洗い器は中国の伝統的な陶器「青花器」である。まさに博物館だ。

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