共通テストへの情報科目導入検討 国際競争勝ち抜きにはAI人材の育成が急務


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 政府が「大学入学共通テスト」の科目にプログラミングなどの情報科目を導入する検討に入ったのは、製造業や医療、農業などあらゆる分野で活用される人工知能(AI)に精通する人材が諸外国に比べ圧倒的に不足しているためだ。AI時代の国際競争を勝ち抜くためにも、国家的な取り組みによる人材育成が急務となっている。

 安倍晋三首相は17日の未来投資会議で、AIなどで社会の変革を図る「ソサエティー5.0」に関し「人材育成は何よりも重要な課題」と強調。その上で「人工知能、ビッグデータなどIT技術、情報処理の素養は、もはやこれからの時代の“読み書きそろばん”だ」と述べ、情報教育を基礎能力として必修化する考えを示した。

 首相の発言の背景には、AI人材育成をめぐる国家戦略が出遅れているとの危機感がある。

 未来投資会議民間議員の金丸恭文フューチャー会長によると、米国では幼稚園から高校までの全生徒に対するコンピューターサイエンス教育を提唱。中国でも小中高に「AI教育科目」を新設するなど国を挙げてAI人材の育成に取り組んでいる。しかし日本では高校で文系を選択すると理数科目を学ぶ機会が極端に減り、その結果、民間企業でAIを理解して戦略的に活用できる人材が圧倒的に足りなくなっている。

 金丸氏は17日の会議で、小学校から高校までのコンピューターサイエンス教育の抜本強化や、大学入試での「情報」試験の必須化を提言。首相もそれに呼応した格好だ。

 ただ、共通テストに情報科目が導入されるのは早くても平成36年度と、6年も先。一刻も早く諸外国に追いつくためにも、可能な分野からAI人材育成に取り組む必要がありそうだ。