一方、中国共産党の機関紙、人民日報系の環球時報は3日付の社説で、中国批判の背景にある中国製造2025の正当性を主張。「この政策は中華民族の偉大な復興の本質であり、外部からの圧力による放棄はありえない」と猛反発した。中国製造2025は経済規模にみあう技術力やブランド力が育っていない弱点をカバーする狙いで、高い重要性があるためだ。
ただし社説は協議について「米中貿易紛糾を正しく処理するスタートになることを望む」とも表明。報復関税や米国債売却の示唆など強硬姿勢を取りつつ、米側の妥協を引き出して穏便な幕引きを求める中国の焦りがにじむ。劉鶴副首相は協議で、表明済みの自動車関税の引き下げや外資規制の緩和を改めて示す見通し。さらに暗に中国製造2025の防衛と引き換えに、一段の中国市場の開放や輸入増を提案するとの見方もある。
しかし米国は協議にムニューシン財務長官やロス商務長官ら主要閣僚をそろえ、「中国への強い決意」(米政府関係者)を示す。歩み寄りは見通せず、「両者がとりあえず協議のテーブルに着くだけ」(米通商専門家)に終わるとの声もある。ある日中関係筋は「(中国は)ワシントンでの再交渉を求めるなど時間稼ぎを狙う」とみている。(ワシントン 塩原永久、黒瀬悦成 上海 河崎真澄)