パラオ、入国時に自然保護「宣誓」署名 環境と観光両立へ世界初の試み (2/2ページ)

 また、パラオ出国の際に課していた30ドル(約3200円)の環境税を廃止し、代わりに「プリスティン・パラダイス(汚れのない楽園)環境税」を1月に新設。パラオ行き航空券の代金に上乗せする形で、1人100ドルの徴収を始めた。

 環境保護を前面に打ち出した政策には、地元の観光業界の一部からは懸念の声も上がる。「禁止事項を強調されるとうんざりされる」「環境税増税は痛手。旅行者が近くのグアムや物価の安いフィリピン・セブ島に逃げてしまう」などだ。

 それでもパラオ政府観光局は強気の姿勢を崩さない。幹部のジョン・サナー氏は「小国だが持続可能性と環境保護の面では世界の最先端にいる。自然という掛け替えのない財産を未来の世代に残したい」と話した。(コロール 共同)

【用語解説】パラオ

 大小200余りの島で形成される島国。首都はマルキョク。人口約2万1000。1914年の第一次大戦開戦後に日本が占領し、22年に行政機関の南洋庁を設置。日本から多くの人が入植、40年代には2万人以上が暮らす。太平洋戦争中の44年、南部のペリリュー島で日米両軍が激戦を繰り広げ、日本側だけで約1万人が死亡した。終戦後は米国の統治下に置かれた後、94年に独立した。(コロール 共同)