「原発は重要電源」堅持 エネ基本計画、経産省が改定骨子案

 経済産業省は27日、改定を進めるエネルギー基本計画の骨子案を有識者会議に示した。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らす「脱炭素化」を掲げ、再生可能エネルギーの「主力電源化」を明記した。一方、原子力発電は「依存度を可能な限り低減する」との方針を維持したが、委員から「位置付けが曖昧だ」などの意見が出た。

 骨子案は、基本計画の対象期間を現行の2030年から、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が目標を置く50年に拡大。太陽光や風力など再生エネは国際的に割高な発電費用の低減や出力変動への対応を進め、主力電源化への「布石を打つ」とした。

 原発は福島第1原発事故を踏まえ、安全対策の向上など社会的信頼を回復することの重要性を指摘。依存度を下げる方針は維持し、CO2排出のない「重要なベースロード電源」との位置付けも変更しなかった。

 焦点とされた原発の新増設に対する方針は明示せず、50年段階の各電源の発電割合など数値目標も見直さなかった。

 有識者会議分科会長の坂根正弘コマツ相談役は、石油や石炭など化石燃料が将来的に枯渇する恐れを指摘し、「再生エネだけで代替することはできない」と強調。政府に対して「原発の重要性は変わらない。(議論から)逃げないでほしい」と訴え新増設の必要性に言及した。

 一方、消費生活アドバイザーの辰巳菊子委員は、福島第1原発事故の反省を生かすことが最優先事項と訴え、「原発はやめるべきだ」と主張した。

 経産省は議論を受け、5月中旬に基本計画の改定案を提示、6月下旬にも閣議決定したい考えだ。