【マネー講座】《債券入門》(4)〈長期金利の変動要因〉景気・物価がカギに (1/5ページ)

 前回は、債券価格と利回りの関係を説明し、市場で取引されて変動する10年物国債利回り、つまり、長期金利が私たちの生活にも関係していることを説明しました。それらを踏まえて、今回は長期金利がどのような要因で変動するのか、そして、長期金利の先行きの見通しについてポイントを説明し、債券入門を締めくくります。(三井住友信託銀行 瀬良礼子)

景気と物価の動きで金利も影響を受ける

 金利は「資金を借りたい」という需要と「貸したい」という供給とのバランスから決まります。資金を借りたい人が多いと金利が上がり、貸したい人が多いと金利は低下します。

 債券の場合、「資金を借りる」=「債券を発行する(債券の売り手)」、「資金を貸す」=「債券を購入する(債券の買い手)」と読み替えます。なお、債券の売り手には、債券の発行者だけでなく、保有している債券を償還前に流通市場で売却する投資家もいます。

 最初の図にあるように、景気が活発なときは、企業は設備投資を行って生産能力を拡大するために長期資金の調達を増やすので、金利に上昇圧力が高まります。逆に、景気が悪いときは、企業は設備投資に慎重になり資金調達を急ぎませんので、金利は低下しやすくなります。

 また、物価上昇率が高くなると、企業は仕入れ価格が上がる前に原材料を購入しようとして資金調達が増え、金利に上昇圧力がかかります。

 また、資金を運用する投資家の立場からは、今後の物価上昇率が現在の債券利回りよりも高くなると考えた場合、資金を債券で運用するとモノの価格上昇に割り負けてしまうので、債券保有を嫌がります。債券の買い手が少なくなるので、債券価格が下落、つまり、債券利回り(金利)が上昇します。

中央銀行の金融政策の影響もポイント