豚・鶏肉輸出、EU向け検査制度を整備 日欧EPA発効機に開拓

 欧州連合(EU)が輸入を認めていない日本産の豚肉や鶏肉など畜産4品目の解禁に向け、農林水産省がEU向けの検査制度を設けることが21日、分かった。豚肉ではEU基準を満たした生産者や加工場などを経た証明書を添付するトレーサビリティー(履歴管理)制度を設ける。農水省は日欧経済連携協定(EPA)が発効する来春までに制度を整備。2014年に輸出が始まった牛肉が「和牛ブーム」を背景に急拡大しており、豚肉や鶏肉でも市場開拓を目指す。

 検査制度を整備するのは、豚肉、鶏肉のほか、鶏卵、牛乳・乳製品。農水省はEUに輸出するためのガイドラインを作成し基準を満たした生産者や加工施設を認定する。

 EUには米国などと比べてハードルが高い独自の検疫基準があり、現在は畜産物のほか、それを原材料に使った加工品も日本は輸出できない。畜産物の輸入に当たってEUは日本に対し豚肉の履歴管理や、動物愛護の観点から家畜にストレスを与えないよう配慮した飼育などを求めている。

 各国が検疫制度を設ける畜産物を輸出する場合、伝染病を防ぐため輸出先の検査基準を満たすための体制について協議する必要がある。ただ、豚肉や鶏肉などはこれまで日本国内の生産者の輸出需要が少なく、EUとの協議が遅れていた。

 ただ、一足早くEUへの輸出が解禁となった牛肉は14年に輸出量が約45トン、輸出額は約3億8000万円だったが、17年には約130トン、約13億円に達している。農水省は日欧EPAで勝ち取った関税撤廃を追い風に、牛肉に続き豚肉や鶏肉なども売り込みたい考え。農水省幹部は「高品質を売りにすれば、欧州でも日本産の畜産物や乳製品も勝機はある」と話している。