日中両政府は16日、貿易や投資など経済の課題を議論する閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」を東京都内で開き、米国と中国の貿易摩擦が激しくなる中、日中は自由貿易体制の強化が重要との認識で一致した。ただ、中国の鉄鋼の過剰生産や知的財産侵害をめぐる対応については議論は平行線に終わった。日中の経済対話は2010年8月の北京以来、約8年ぶり。
河野太郎外相は会談終了後、記者団に「貿易戦争を引き起こすことは、国際経済の繁栄に影響があるとの認識を(中国と)共有している」と述べた。
経済対話では日中韓3カ国による自由貿易協定(FTA)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を加速させる方針でも合意した。5月に予定する日中韓首脳会談に向け、経済連携で弾みを付ける。
しかし、そもそも米中の貿易摩擦は、鉄鋼の過剰生産や知的財産侵害といった中国による不公正な貿易も原因だ。会談で日本側が問題を指摘したのに対し、中国側は過剰生産の解消や知的財産の保護に向けた取り組みを説明したという。
中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」についても、中国側の議長を務めた王毅国務委員兼外相が「(日本と)対話を深めたい」としたが、河野氏は「国際的なスタンダードに沿った形で、ケース・バイ・ケースで協力していく」とするにとどめた。
一方で、安倍晋三首相が推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」と相互連携できるとの考えを示し、第三国での経済協力を進める方針は確認した。
日中は「今後も対話を継続させる」(外務省)との認識で一致。次回の経済対話は来年に中国で開き、その後も年1回程度のペースで開催する予定だ。