東海第2 規制委の合格条件クリア 東電と東北電の支援意向 原電が報告

 日本原子力発電は5日、原子力規制委員会の審査会合で、再稼働と最長20年の運転延長を目指す東海第2原発(茨城県東海村)の安全対策に必要な資金1740億円について、東京電力と東北電力から支援の意向が示されたと正式に報告した。規制委は、地震や津波対策など主要な課題は既に了承。会合では報告内容に異論は出ず、規制委が審査合格の条件としていた資金繰りの課題をクリアした形となった。

 審査は大詰めを迎え、規制委は今後の会合で改めて安全対策に不備がないか確認し、合格証に当たる「審査書案」の取りまとめに入る。

 再稼働すれば東日本大震災の津波被害に遭った原発で初となるが、地元の事前同意が必要で、3月29日に、立地の東海村以外の周辺5市に同意権限が拡大したため、具体的な時期は見通せない。

 原電は会合で、東電と東北電から社長名の文書で資金支援の意向が伝えられたと報告。再稼働と運転延長に必要な対策費を確保できるめどが立ったと説明した。

 支援する2社とも「原電の自己資金を超える分は(原電からの)受電量に応じた金額を上限に支援を行う」などとしている。支援方法は、東北電が債務保証などの形で、東電は具体的に示していない。

 会合で規制委から「対策費が増えることはないのか」と問われ、原電の担当者は「現段階で上回るとは考えていない。支援は確実に受けられる」と述べた。

 東海第2の審査では、防潮壁などの大規模工事が必要となり、対策費が当初想定の2倍以上にまで膨れ上がった。規制委は、原電の資金調達能力を問題視し、審査で説明するよう求めていた。

 東海第2は、運転開始から40年を迎える今年11月までに再稼働審査と延長運転の審査の両方に合格しなければ廃炉となる。