中国の習近平政権は一時の高い経済成長に陰りが見える中、経済の新たな牽引(けんいん)役としてハイテク産業の育成に力を入れている。世界トップのインターネット人口を武器に、優秀な国内外の人材や潤沢な投資マネーを集中させてベンチャー企業の育成を進める。「北京のシリコンバレー」と呼ばれ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長も訪中時に視察した中関村で、ハイテクベンチャーの現状を取材した。(北京・中関村 三塚聖平)
北京市内中心部から地下鉄で1時間弱、起業家が集まる「中関村創業ストリート」を訪れるとコーヒー店が目立つ。
「諦めないことが成功の礎だ」
コーヒー店「3Wカフェ」の店内には、中国電子商取引最大手アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長の写真がメッセージとともに掲げられていた。馬氏以外にも、多くの有名起業家らの写真が映画スターのように並ぶ。その下でパソコンのキーボードをたたく若手起業家にとっては、馬氏ら「成功者」の存在はスターそのものだ。
各コーヒー店では、若手ベンチャー起業家が仲間とともに事業計画を練り、取引先と商談を繰り返している。最新技術の勉強会などイベントも頻繁に開催。上階には設備共有型のレンタルオフィスがあり、会社設立の登記もできるという。