激化する「米中貿易戦争」の裏で続く神経戦 衝突回避に相手の腹の探りあい (1/3ページ)

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 知的財産の侵害をめぐり、3日に中国への制裁措置として追加関税を課す対象品リストの原案を公表した米国に対し、中国は即座に報復関税で応じ世界貿易機関(WTO)にも提訴した。ただ、このまま対立が続けば、互いに自国の産業への影響が避けられないのは必至。一見、激化する米中両国の「貿易戦争」の裏では、正面衝突を避けようと相手の腹を探る神経戦が続いている。

 「双方がテーブル上に問題を並べた。今からは協議し、協力する時間だ」

 中国の朱光耀財政次官は4日の記者会見でこう述べ、「わがままで衝動的な行為」と追加関税について強く批判した米国に対し、対話によって衝突を回避すべきだと呼び掛けた。

 中国が米国に対して強気の姿勢で臨むのは、「押せば要求を通せる」と米国に足元を見られるのを避けるためで、あえて強気の態度を演じているとの見方も強い。というのも、本格的な米中貿易戦争に陥れば、米国市場で競争力を失うだけでなく、人民元相場の不安定化といった多くのリスクをはらむ。

 さらに、今回、米国が制裁措置の対象としたハイテク分野は譲れない領域でもあるからだ。昨年秋の共産党大会で習近平総書記(国家主席)が打ち出した「今世紀半ばまでに世界のトップレベルの国家になる」との目標を実現する上でも、この分野での覇権拡大は欠かせない。このまま報復合戦が緊張感を増せば、最悪のシナリオが現実にもなりかねない。

米国も事情は同じ