政府、自動運転に必要な法整備検討 新技術実用化も推進

 政府がまとめた自動運転実現に向けた制度整備大綱は、技術進展の過渡期に安全性を確保し、実社会での普及を促すことが狙い。政府は今後、必要な法整備に取り組み、トラックの高速道路での隊列走行や無人車両による移動サービスといった新たな技術の実用化を進める考えだ。

 政府は昨年5月、国家戦略「官民ITS構想・ロードマップ2017」を決定。平成32年までに緊急時に人間が操作することを前提とした自動運転技術(レベル3)、37年までに運転をシステムに委ねる完全自動運転を実現するとの目標を掲げている。

 自動運転技術が進展すれば、高速道路で運転者が乗ったトラックが自動運転のトラックと隊列を組んで物を運んだり、無人の自動運転車でタクシーやバスのような移動サービスを行ったりすることも考えられる。大綱は32~37年ごろには、こうした自動運転車と一般の自動車が道路上で混在すると想定している。しかし自動運転車両はハッキングによる乗っ取りの可能性などの弱みがある。また、大雪などの悪天候時には十分に安全性能が発揮できなくなる恐れもある。

 このため大綱では、自動運転車にサイバーセキュリティーの強化を義務付けるなど新たな安全基準を設けるため、道路運送車両法などの関連法を改定することを決めた。また、自動運転車による移動サービス導入の際には、地域差を考慮した上で走行環境条件を設定するとした。

 一方、大綱は自動運転車による事故が起きた際には迅速な被害者救済が行われるよう、現行の自動車損害賠償保障法を活用する方向性を示した。事故の原因究明のためにデータ記録装置の設置を義務付けることの必要性も32年までに判断する。