“トランプ砲”世界経済を攪乱 米国が輸入制限発動、中国に知財権侵害で制裁

米首都ワシントンで、中国製品への制裁措置を指示する大統領令に署名する際に話すトランプ米大統領=22日(AP)
米首都ワシントンで、中国製品への制裁措置を指示する大統領令に署名する際に話すトランプ米大統領=22日(AP)【拡大】

 トランプ米政権は23日午前零時(日本時間23日午後1時)、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動した。鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す。一方、ホワイトハウスはこれに先立つ22日、輸入制限の適用除外国としてカナダや欧州連合(EU)など7カ国・地域を発表。日本は当初の適用除外国から外れた。

 トランプ米大統領は安価な製品の大量流入を「安全保障上の脅威」と認定。通商拡大法232条に基づく関税適用を決めた。同条の発動は1982年のリビア産原油の禁輸以来。

 適用除外対象はカナダとEUのほか、メキシコ、韓国、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は22日の上院財政委員会で、日本は適用除外のリストに「入っていない」と明言した。

 最終的な適用除外国は4月末までに決める。当初の適用除外となった7カ国・地域についても、5月1日までに除外を継続するか判断するという。適用除外については米産業界の要望に応じて、製品別に選定される手続きもある。

 またトランプ氏は22日、中国の不公正な貿易慣行で米国の知的財産が侵害されたとして、中国の対米輸出品に25%の追加関税を課す制裁を決めた。最大で年500億~600億ドル(約5兆3000億~6兆3600億円)の中国製品が関税の対象となる。USTRが15日以内に対象製品リストを公表する。政権高官によると、ハイテク製品を中心に1300点に及ぶ見込みという。

 トランプ氏は中国の対米投資への規制を強化することも決定。財務省が60日以内に具体案を作る。さらに中国が自国企業を優遇しているとして、中国を世界貿易機関(WTO)に提訴することも決めた。(ワシントン 塩原永久)