米輸入制限、安保上の脅威が根拠 深刻な貿易摩擦に発展する恐れ

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 トランプ米大統領はカナダ、メキシコの2カ国を「特例」として鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の適用外とした。日本を含む他の同盟国は、今後の協議を通じて対応を決める。米国が主な標的とする中国は、報復措置を警告。欧州連合(EU)なども反発しており、深刻な貿易摩擦に発展する恐れがある。

 トランプ氏は8日、ホワイトハウスに鉄鋼労働者を招いた会合で輸入制限の指示文書に署名。「強固な鉄鋼・アルミ産業は米国の国家安全保障にとって死活問題だ」と述べ、自国産業の復興への意欲を強調した。

 今回の輸入制限は、安保上の脅威を根拠に一方的な対抗措置を取れると定めた米通商拡大法232条に基づく。同条の措置はリビア産原油の輸入を禁じた1982年以来、約36年ぶり。

 トランプ政権は海外製品の大量流入が米メーカーの工場稼働率低下を招き、企業の体力が弱まって、軍用品向け製品供給に悪影響を与えかねないと認定した。(ワシントン 塩原永久)