政府は9日の持ち回り閣議で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で批判を受けていた佐川宣寿国税庁長官(60)の辞任を認める人事を決定した。前職の財務省理財局長時代に国会で行った答弁について野党から「虚偽だ」と指摘され、更迭を求める声が強まっていた。今月に入り森友学園に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑惑も浮上し、混乱の責任を取ったとみられる。国税庁長官は通例で1年程度務めることが多く、この時期の退任は異例。
佐川氏は、国有地の売買契約交渉がほぼ終わっていた平成28年6月に理財局長に就任した。同局長時代に、国会で森友学園への国有地売却問題を追及され「適切な対応だった」「記録は廃棄した」などと主張したが、国側と学園との交渉記録などが次々と表面化。野党は当時の答弁を問題視していた。
佐川氏は昨年7月の国税庁長官就任後、慣例の記者会見を開いておらず、公の場に姿を見せていない。確定申告の受付時期とも重なり、納税者からの非難も高まっていた。
森友学園をめぐっては、国有地売却に携わっていた財務省近畿財務局の男性職員が、7日に神戸市内の自宅で死亡していたことが9日、捜査関係者への取材で判明。男性職員は自宅療養中で、現場の状況から自殺とみられるという。男性職員は28年当時、学園側と直接売却交渉をしていた職員の部下にあたる上席国有財産管理官を務めていた。