RCEP、TPP11が高水準な自由化を後押し 米第一主義の牽制も


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 RCEPの閣僚会合は、米国を除く11カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の協定文が1月に確定してから初めて。参加国の思惑にはなお隔たりが大きいものの、日本はTPP11を追い風に「自由化の質の高さ」と「早期妥結」の両立を目指す。

 「中国に圧力をかけられるのではないか」。経済産業省の首脳は、TPP11がRCEPの交渉に与える好影響を期待する。

 RCEPは2013年から交渉を開始した。交渉に大きな進展がみられないのは、自国産業の保護に軸足を置く中国やインドと、高水準の自由化を狙う日本やオーストラリアなどとの主張に開きがあるからだ。

 特に、アジア太平洋地域での影響力拡大をもくろむ中国は、海賊版の氾濫といった多くの課題で改善を迫られる可能性があるため、高水準のルール作りに慎重なようだ。

 しかし、TPP11は知的財産権などでも高水準のルールを定めた。日本は今後のRCEP交渉で、TPP11の合意内容を引き合いに、中国に対しても強い姿勢で臨む考えだ。

 RCEPは、鉄鋼の輸入制限の発動方針を表明するなど「米国第一主義」を掲げるトランプ政権に対する牽制(けんせい)にもつながる。トランプ氏はTPPへの復帰でも再交渉を条件とし、強硬な姿勢を崩していない。

 日本はRCEP交渉でも指導力を発揮し、自由貿易のリード役を担う構えだ。(大柳聡庸)