自民党が1日に開いた会議で、働き方改革関連法案から裁量労働制の対象拡大を削除した経緯について政府への批判が相次ぎ、荒れ模様となった。出席者からは法案の骨格を占める残業時間の上限規制にも疑問の声が噴出した。党の支持基盤である中小・零細企業に悪影響を与える懸念があるためだ。専門家からも「企業の現状を考慮していない」と法案を疑問視する声が出ている。
「中小企業の規制を厳しくするところだけが残った。肝心なのは企業や経済にどう影響があるかだ」
「まだダメ出ししなければいけないところがある」
1日の自民党厚生労働部会などの合同会議では、政府の不手際への怒号に加え、法案自体を問題視する意見も相次いだ。
働き方改革関連法案は、経済界が望む裁量労働制の対象拡大や年収の高い専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の創設を盛り込む一方、残業時間の上限規制など連合や労働組合が求める項目を一体化した内容だった。
残業時間の上限規制は、長時間労働を是正して生産性を高める目的だが、安倍晋三首相には安定した基盤を築くため野党の支持層を切り崩す狙いもあった。ただ、法案から裁量労働制の対象拡大を削除し残業規制などだけ残る形になった。合同会議では「野党に食い逃げされ、連合は万々歳。向こうにしてやられた」との批判も飛び出した。