だが、民主党政権で続いた歴史的円高を「異次元の金融緩和」で打破した安倍晋三政権にとって円高につながる出口戦略は「オウンゴールに近い」(高田氏)のも事実。トランプ米政権がドル安志向を強める中、再任が固まった黒田東彦総裁は28日の衆院財務金融委員会で、正常化が「経済にショックを与えることは避ける」と強調しており、当面は動きづらい状況だ。
手をこまぬいている間に景気がピークアウトすれば米国は逆に利下げを始めざるを得ない。日銀は今回、結局利上げに踏み切れないまま大規模緩和の出口が一層遠のく可能性もある。
■日米欧の金融引き締めと市場変動
(利上げ開始時期/その後の展開)
(1)1970年代前半
欧州72年10月 米国73年1月 日本73年4月/74年~世界的不況
(2)70年代後半
米国77年8月 欧州79年3月 日本79年4月/80年~世界的景気減速
(3)80年代後半
米国87年9月 欧州88年7月 日本89年5月/90年~世界的景気減速
(4)90年代後半
米国99年6月 欧州99年11月 日本00年8月/01年ITバブル崩壊
(5)2000年代半ば
米国04年6月 欧州05年12月 日本06年7月/07年~サブプライム危機とリーマン・ショック
(6)今回
米国15年12月 欧州19年? 日本は出口見えず/?
※みずほ総合研究所の資料から作成