コインチェックの巨額流出問題を受けて、仮想通貨交換業者の間では、顧客の資産を守るためのセキュリティー対策の重要性に改めて関心が集まっている。顧客からの問い合わせも多いため、管理体制をアピールすることで、不安の解消につなげたい考えだ。
最大手の一つビットフライヤー(東京)は流出直後の1月30日、「『セキュリティ・ファースト』主義」を表明。顧客と自社の仮想通貨は金額ベースで8割以上をネットワークから隔離された「コールドウォレット」で保管しているといい、送金に複数の秘密鍵を求める「マルチシグ」も基準を厳格化する方針だ。
「顧客の資産を全額コールドウォレットで管理している」というのは、ビットトレード(東京)。マルチシグも、「自社で安全性の検証を終えたものから適時移行している」とした。
また、ビットアルゴ取引所東京(東京)は今後、営業を開始する予定で、仮想通貨の92%以上をコールドウォレットで保管するという。加えて「市場環境分析や当局の指導を踏まえ、全体的なセキュリティー強化を検討中」と話している。
一方、ビットステーション(名古屋)は仮想通貨交換業者に登録申請中の「みなし業者」。仮想通貨の7割を目安にコールドウォレットで管理し、「出金時の利便性を考えシングルシグを採用していたが、安全面でのリスクを考慮し、マルチシグ化を図っている」という。サイバー保険への加入も検討している。
FXなどを手がけるトレイダーズホールディングス傘下のみんなのビットコイン(東京)もみなし業者。コールドウォレット管理で「ハッカーの攻撃を排除する」としている。また現金などの払い戻し前の検証により「悪質な目的の帳簿操作は実質不可能」という。