【太陽の昇る国へ】徹底的な減税でこの国に活力を 幸福実現党党首・釈量子

2018年度予算案について答弁する安倍晋三首相=6日午前、衆院第1委員室
2018年度予算案について答弁する安倍晋三首相=6日午前、衆院第1委員室【拡大】

 --国会で来年度本予算案の審議が進められています

 焦点の与野党対決案件である働き方改革や政権の疑惑などをはじめ、多岐にわたるテーマが議論されています。いずれも重要な案件ばかりだとは思いますが、安保面では北朝鮮が数か月内にも米本土攻撃能力を獲得するとの見立てもあるだけに、「ためにする議論」ではなく、緊張感をもって国会審議を進めてほしいと思います。

 --さて、政権は「生産性革命」などで経済活性化を図ろうとしています

 その一環として、日本経済の課題である中小・零細企業の事業承継問題に対して、政府は相続税の全額猶予などの措置を打ち出していますが、いささか踏み込み不足だと思います。円滑な事業承継に向けて、相続税・贈与税そのものを廃止するといった思い切った手を打つべきではないでしょうか。

 いずれにせよ、成長戦略の基本的な考え方としては、大減税に踏み切ったトランプ米大統領の姿勢に倣ったらいかがかと思います。アップル社が国内での2万人の新規雇用を発表したように、雇用創出や賃金上昇など効果が出ています。日本も増税路線を強めるのではなく、減税に舵を切るべきです。

 このところの日本経済の指標は好調とはいえ、実感のある景気回復がなされているとは言い難いのが実情です。その大きな要因が消費税増税なのは間違いないでしょう。実際、地方を回っても、「消費税増税で経営が厳しい」とのお声に数多く接します。このうえ税率が10%に引き上げられれば、経営には一層のダメージとなりますし、軽減税率導入で煩雑な事務作業なども発生します。消費税増税を中止するとともに、税率を5%に引き下げるべきです。軽減税率の財源として金融所得課税の増税も取り沙汰されていますが、株式市場に悪影響を与えることになりかねません。課税を強化して財産を召し上げる手法は、社会の活力をそぐだけです。

 また、基礎的財政収支の黒字化目標先送りが検討されているようですが、早期達成にこだわらず、消費税や法人税の減税、規制緩和などにより経済を活性化させ、高い経済成長を達成することで債務残高の対国内総生産(GDP)比率を縮小させることを目指すべきと考えます。

 --安全保障面については

 防衛大綱見直しに関し、安倍首相が「従来の延長線上ではなく国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿」を見定めていくと表明していることは歓迎したいと思います。敵基地攻撃能力保有などをにじませたものとして野党は反発していますが、抑止力強化のため、相応の装備・能力を持つのは当然の判断です。

 また北朝鮮問題がクローズアップされますが、軍事力を背景に国境を越えて影響力の及ぶ範囲を拡大する中国こそ国難の“本丸”だと私たちは捉えています。先月中旬、中国原潜が尖閣の接続水域に進入しましたが、領土・領海などを断固守る姿勢を鮮明にすべきです。

 中国は対外拡張を図るほか、国内では人権弾圧を続けています。こうした人権弾圧に無関心でいてはいけないと思うのです。日本として中国の脅威から国家国民を守り抜く防衛体制を構築すると同時に、中国の民主化、自由化を促し、抑圧的な体制を改めさせるような外交を展開すべきです。アジアに平和と「自由からの繁栄」を実現すべく、私たちも努力する決意です。

 --自民党総裁選もにらみつつ、今国会、改憲論議も加速するとみられます

 中心課題は9条改正であり、首相が提起した自衛隊明記がその軸になるはずです。公明党の慎重姿勢や、その後の国民投票も見据えた、現実的な案ということなのでしょうが、9条の規定を残した上で自衛隊を明文化し、合憲としたところで、抜本的な国防強化につながるものとはなりません。やはり正々堂々、9条2項を削除するなどして自衛隊を軍に位置づけるべきです。

 他方、GHQ(連合国軍総司令部)が原案を作成した憲法を押し頂く勢力もありますが、もはや前文にあるような空想的平和主義が通じる時代ではありません。戦後70年以上経た今、日本人の手で誇りある主権国家にふさわしい憲法に創(つく)り直すべきです。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。