トランプ大統領が離脱したTPPへの復帰検討を表明したことを受け26日、日本政府内からは歓迎の声が相次いだ。ただ、トランプ氏は「かなり有利な協定にできるのなら」と再交渉を復帰の条件に挙げたため、厳しい要求を突きつけてくることへの警戒感も広がる。日本政府は米国抜きの11カ国によるTPPの早期発効を目指し、トランプ氏の「米国第一主義」に対抗する構えだ。
「トランプ大統領のTPP、いいんじゃない」。安倍晋三首相は26日、閣議前の写真撮影の際、TPPを担当する茂木敏充経済再生担当相に話し掛けた。トランプ氏が復帰検討を表明したことを好感したようだ。
茂木氏は同日の会見で、「トランプ氏がTPPの意義を認めたことは歓迎したい」と述べた。外務省幹部も「トランプ氏がTPPを含む多国間の枠組みについて肯定的な発言をするのは初めてだ」と評価する。
日本政府はTPPをモデルにアジア太平洋地域に、自由度の高い貿易ルールを浸透させたい考えだ。参加国を増やすことも視野に、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」などで影響力拡大を目指す中国に対抗する狙いもある。
さらに米国が復帰すればその意味は小さくない。
米国が加われば、参加国合計の経済規模は世界の国内総生産(GDP)の約14%から約38%に高まる。知的財産保護などに関する項目など、米国復帰まで効力を棚上げした22の凍結項目も解除され、より高い水準の貿易ルールが実現する。