【専欄】北京の空、灰色から青へ戻るも… 中国の「脱石炭」政策に凍える庶民 ノンフィクション作家・青樹明子 (1/2ページ)

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 私の記憶に残る北京の冬は、空も陸も一面灰色である。微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が1立方メートル当たり500~600マイクログラムもあった時代に住んでいたので、冬とは常に暗く、どんよりとくすんでいた。

 しかし最近、北京の空が青い。昨年12月半ば、出張時に見上げた空は、20数年前、初めて住んだ頃の北京の空と同じように青く澄んでいた。

 この青空はどうやって獲得できたのか。理由は簡単である。PM2.5の元凶である石炭の使用を禁じたからだった。「煤改気(石炭を天然ガスに換える)」である。

 もちろん悪いことではない。しかし問題は、中国が「煤多气少(石炭は多いがガスは少ない)」という国であることだ。天然ガスが供給不足に陥り、厳寒の時期、暖房が使えない。中国の北方で、暖房は食料と同等のライフラインである。氷点下20~30度という所もある中、暖房がなければ凍え死ぬ。

 中国のメディアは厳しく管理されているため、国の政策を真っ向から批判することは少ない。しかし、凍える庶民に関してはさすがに黙ってはいられないのか、多くのメディアで報道されている。

 河北省保定市の某小学校では、子供たちが、校庭に並べられた椅子の上にノートを置き、レンガを敷き詰めた地面に座って授業を受けている。別の小学校では室外授業を増やし、子供たちに日光を浴びさせ、また校庭を走り回らせて暖を取らせているという。しかし子供の中には手足が霜焼けになり、患部が腫れてかゆくなった者も少なくない。

行政側の対応は

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