中国の深セン市(広東省、人口約1190万人)が米シリコンバレーとはひと味違ったITの聖地として改めて脚光を浴びている。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や小型無人機ドローン世界最大手のDJIに続く深セン発ベンチャーが続々誕生。米マイクロソフトなど海外勢も相次ぎ研究開発(R&D)拠点を開設した。日本の企業の役員や官僚の深セン詣でも活発化している。日本貿易振興機構(ジェトロ)は「電子部品の集積をバックにした製品化のスピード感が強み」とメリットを強調する。一方で、中国ビジネスにはさまざまなリスクも潜んでいる。
アップルも設立
2017年11月。蓄電池の診断技術を持つゴイク電池(大阪市)などジェトロの進出支援を受けた中小企業10社が、深セン市で開催された先端技術見本市に出展。起業やライセンスビジネスのパートナー探しに自社製品やサービスをPRした。
これとは別に、深セン市と名門大学の清華大が共同出資した深セン・清華大研究院もパートナー探しを手伝う。同研究院は累計約1500社のベンチャー支援実績があり、日本側の期待も大きい。
広東省政府も税制優遇や財政支援などで深セン市での起業をバックアップし、インキュベーション施設(起業家支援施設)も急増。さらに、製品製造の委託先やベンチャーキャピタル(未上場企業などに投資するファンド)を紹介する官民サービスが深セン市に集積しており、日本から進出する中堅・中小企業は本業に専念しやすく、新商品開発に集中できるという利点もある。