中小の特許活用、都道府県別に目標 政府 地域特色生かし知財戦略支援

 特許庁が、地域の中小企業や農林水産業者などの特許や商標の取得、活用といった知的財産戦略を支援するため、都道府県別の目標を発表した。重点分野に農業、ロボット、復興を盛り込むなど、それぞれの地域特色を生かした。知財は事業者の成長や収益向上に貢献することから、地域経済の底上げにつなげたい考えだ。

 北海道は、中小企業が15万社以上あるが相談窓口が少なく、支援が行き届いていない。橋渡しをする人材の育成へセミナーを開催する。岩手県は、宇宙誕生の経緯解明を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」建設計画の誘致を目指しており、関連分野での支援を強化する。福島県はロボット産業の関連分野に注力する。

 山梨県では、ワインや果物など農産品の商標、地域ブランドを保護する地理的表示(GI)の活用を進める。長野県は、日本酒など地酒の製造業者向けに勉強会の開催や訪問などで知財を広く知ってもらう。熊本県は、熊本地震の被災企業を中心に資金面を含めた総合的な支援を打ち出す。

 こうした目標は、特許庁が各都道府県などと共同で策定した。知財の取得には専門知識が必要で二の足を踏む事業者が多いため、弁護士や専門家を派遣して啓発活動や実際の申請手続きを補助。取得した後の活用についても支援する。

 特許庁は、中小企業向けの知財支援を強化している。全都道府県にある知財総合支援窓口の相談件数を2019年度に9万5000件とする目標を掲げ、16年度は都道府県ごとの数値目標を定めた。今回の目標はこの数値の達成に向けた取り組みを明記した。今後も都道府県などと毎年意見交換し、内容を充実させる方針だ。