電波の周波数帯の利用権を競争入札にかける電波オークションの導入をめぐり、29日の規制改革推進会議は「検討継続」と答申した。制度導入に反対してきた携帯電話大手3社は胸をなで下ろした格好だ。答申には、新しい周波数割り当てでオークションに近い価格競争の要素を導入することも盛り込まれたが、2020年開始予定の第5世代(5G)移動通信方式の最初の割り当てには間に合わず、現状維持が続く。
現行の割当制度は、総務省が事業者の優劣を審査する「比較審査方式」。災害時対応なども審査項目だが、総務省の裁量が大きく、手続きの不透明性が指摘されてきた。
しかし、3社はオークションによって利用料が高騰すれば、災害対策への対応や新技術導入が遅れ、利用者負担も増加する、と主張していた。
また、答申では新たに割り当てる周波数帯について、価格競争の要素を含めて決定する方式を導入するとも明記。18年度中に関連法案を提出するとした。
ただ、実際に新方式が導入されるのは19年秋ごろとされ、20年開始の5G移動通信方式の最初の割り当ての際には間に合わず、現行の比較審査方式が維持される見通し。追加割り当ての際のみ新規参入が見込まれ、大手携帯電話3社にとって影響は限定的とみられる。
詳細な制度設計は総務省で議論される見込みだが、同会議ではオークション導入を求める声が根強く、議論の行方は予断を許さない。