政府が、新たな「宇宙ビジネス」の開発に向け、平成30年度にも制度整備の検討に乗り出すことが16日、分かった。雲や雨に妨げられない宇宙空間での太陽光発電などを想定し、実証事業を通じて、外国との調整も含む課題の洗い出しを進める。遅れている宇宙空間の活用を新たな経済成長の“種”としたい考えで、17日開催の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)で議論を始める。
想定するのは、宇宙での太陽光発電のほか、離島が災害などで停電した場合に遠隔地から宇宙経由で電気を送る「ワイヤレス送電」など。どんなビジネスが可能か広くアイデアを募る。
宇宙ビジネスは制度整備が不十分で、むしろ法規制が少ないことが企業参入の“壁”となっている。諸外国の思惑もあり、民間企業のビジネスがどこまで許されるか判断できないためだ。実証事業では、30年度の導入を目指す新型の規制緩和制度を活用。同制度は申請・認定の手続きが従来の制度より迅速で、企業が試行錯誤を繰り返し、斬新なビジネスモデルを生み出しやすくなる。
政府は、来年の通常国会で「産業競争力強化法」を改正するなどして同制度の設計を進める。インターネット上で複数のコンピューターが取引データを管理し、データ改(かい)竄(ざん)を防ぐ「ブロックチェーン」や人工知能(AI)の実証にも活用したい考えだ。
17日の未来投資会議では中小企業の生産性向上に向けた政策なども検討する。