2019年にはマイナンバーカードの本人確認機能がスマートフォンで使えるようになる見通しだが、いずれにしてもカード取得は必須。なりすましを防ぐために自治体の窓口に本人が出向く必要があるという煩雑さが取得のハードルになっている。
運用面の課題山積
一方、行政手続で書類提出が不要になるマイナンバー制度の「情報連携」は11月から本格運用を開始する。税と社会保障の手続きで住民票などの書類の提出が不要になるなど、自治体職員や申請者双方のメリットにつながることが期待される。しかし、7月の試行運用後、新しい業務システムの利用を職員が習熟していないことなど運用面の課題も山積しており、総務省は10月中にこうした改善点を整理する考えだ。
情報連携では、年金事務に関する手続きも来年以降、対象になる見通しだ。ただ、年金事務については2年前に情報漏洩が発生したことで延期された経緯がある。情報連携の本格運用で、児童手当や介護保険の申請など940の事務手続で書類提出が不要になる予定だが、連携の幅が広くなるに伴い、漏洩リスクの増大も懸念される。大量の情報の注意深い取り扱いを全国の自治体で徹底できるかは未知数だ。(大坪玲央)