国土交通省は7日、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を活用し、観光地の渋滞緩和をはかる「観光交通イノベーション地域」として京都市など4地域を選定したと発表した。神奈川県鎌倉市や京都市で、来月にも実証実験をはじめるほか、長野県軽井沢町と神戸市でも実証実験などの検討をはじめる。先端技術を活用して観光地の環境整備を進める。
実証実験では、自動料金収受システム(ETC)を使った双方向通信が可能な次世代交通システムや、街頭に設置したカメラなどを活用し、人や車の流れなどデータを収集する。集めたデータはAIで解析し、混雑する場所や時間帯などの予測や、最適な交通配分を行う。地域の警察と連携して信号の制御変更や交通規制を行うほか、道路の見直しなどにも活用する。
鎌倉市と京都市では、観光地の特定エリアに入る車から一定の料金を徴収し、車両を抑制するエリアプライシング構想が浮上している。国交省は実証実験などの結果を踏まえて、同課金制度の導入を検討する。軽井沢町と神戸市でも同様の実験を来年度以降に実施する方針だ。
あわせて国交省は、次世代交通システムを活用して訪日外国人旅行者が運転するレンタカーの事故防止に向けた取り組みを実施する。外国人客の利用が多い5空港周辺のレンタカーを対象に、急ブレーキなどの走行データを解析し、事故のリスクが高い場所を割り出す。新技術の活用で渋滞を減らし、観光振興や地域の活性化につなげる狙いだ。(臼井慎太郎)