韓国の製造業で、将来不安が頭をもたげてきた。得意分野だったはずの造船で中国企業との受注合戦に敗北。ほかの業界を見渡しても先進国のトレンドである産業ロボットの導入は遅れているという。韓国メディアは、大企業の正社員労組が既得権益にしがみつき、生産性向上のための労働政策も後退していると批判している。韓国経済の成長力は枯れたのか。
衝撃の敗北
「世界の主導権をしっかり握っていると評されていただけにショックを隠せない」。韓国の大手紙、朝鮮日報(日本語電子版)が、現代重工業の落胆を伝えた。フランス海運大手「CMA CGM」が導入する世界最大級のコンテナ船9隻の受注を逃したのだ。
入札には現代のほか、サムスン重工業、大宇造船海洋も参加していたが、受注したのは中国の造船所2カ所。業界は「中国の技術と価格競争力を世界大手の海運会社が認めたという点で衝撃を受けている」と同紙は解説する。
聯合ニュースによると、敗れた韓国勢3社は「手持ち工事量が世界1~3位」(7月末時点)。同国が誇る主要産業だが、業界関係者は「中国政府の政策支援の中で中国が韓国造船3社と競争力の格差を急速に狭めている」と危機感を募らせているという。
中国はすごいぞ
「韓国の主力産業の大部分は世界市場でシェアが下落する」。中央日報(日本語電子版)によると、韓国産業研究院は「既存製品の生産と輸出が大幅に増えるのは難しい」と指摘する報告書を公表した。