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中国の奥深くで日々、膨大な電力と演算能力がBTCに姿を変える-。中国はBTCの支配者となりつつある。
「所在地が分かる上位10社のうち9社が中国の業者だ」。国際通貨研究所の志波和幸主任研究員は、BTCの採掘力をめぐる現状をこう説明する。世界中で採掘されるBTCの7割弱を中国勢が手に入れているという。
かつては家庭のコンピューター1台でも、丸1日稼働すれば、ごくわずかだがBTCが得られた。
ところが取引価格の上昇に伴い、コンピューターの数や性能にモノを言わせ採掘を行う専門業者が参入。次第に、電気代が安く、資金も潤沢な中国勢を中心に寡占が進んでいった。
BTCの取引は少し前まで中国が9割を占めていた。しかし、資本流出を懸念した当局が規制を強化し取引は激減。中国勢は今、取引の「川上」にあるBTCを生み出すシステム自体を押さえに動いている。
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8月初め、BTCが分裂し、新たな仮想通貨「ビットコインキャッシュ(BCC)」が誕生した。分裂劇を主導したのは、中国の採掘者だった。
BTCをめぐっては、取引が急増してシステムの処理能力に限界が迫っていた。これに対し開発者が改善案を提示したが、中国の採掘者らは「採掘で得られる報酬が減る」(関係者)などと反発。みずからの利益につながるBCCの立ち上げを強行した。
BCCの価格は今のところBTCの10分の1程度。値動きも安定せず、普及するかは見通せない。