政府は1日、輸入冷凍牛肉の関税を引き上げる緊急輸入制限措置(セーフガード)を発動した。対日貿易赤字の解消を目指す米国は日本に農産物の市場開放を迫っており、10月にも開く日米経済対話の新たな火種になりそうだ。米側が離脱表明した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効していれば発動を回避できただけに、日本は米国にTPPへの再加盟を促すとみられる。(西村利也)
日本の冷凍牛肉の主要輸入国は米国とオーストラリアだが、日本と経済連携協定(EPA)を締結している豪州はセーフガードの対象外となる。一方、米国などの関税率は来年3月31日まで現行の38.5%から50%に引き上げられる。
「TPPが発効していれば、この(セーフガードの)措置はなくなっていたはずだった。TPPを(米国が)やらないというから措置が残っている」。
麻生太郎財務相は1日の記者会見で、セーフガードの発動に対し、パーデュー米農務長官や米農業団体が懸念を表明したことを皮肉った。また、麻生氏はセーフガード発動を3カ月の輸入実績で判断する仕組みについて、「6カ月にするとか、いろんな話はある」と述べ、日米経済対話で協議する方針を明かした。