中国のシリコンバレーと呼ばれる北京の中関村地区に、昼寝専用のカプセルホテルがお目見えした。中国人の昼寝場所といえば家具メーカー、イケア(IKEA)の店舗に陳列されているベッドを連想する向きもあるだろうが、このカプセルホテルはIT関連の専門職をターゲットにしている。ビジネスとして成り立つ背景には、拡大を続ける「シェアリング・エコノミー」の市場規模に加え、中国のホワイトカラーが直面する過重労働や睡眠不足も影響しているようだ。
「閉所恐怖症を起こしそう」
ロイター通信によると、昼寝専用のカプセルホテルを作ったのは新興企業の「享睡空間」。カプセルは宇宙船の船外活動用の乗り物に形が似ており、料金は正午前後の混雑時が30分10元(約170円)、他の時間帯は6元という。スマートフォンで手軽に予約できるため、男女を問わず人気があるようだ。
使い捨ての寝具や耳栓、殺菌用の紫外線ランプなどを備えており、清潔さは保たれている。内部では照明や空調の調節、スマートフォンの充電も可能だ。ただ、中国のニュースサイトには「閉所恐怖症を起こしそうなほど狭い」「遮音性があまり良くないので、外で騒がれると眠れない」といった指摘もある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、カプセルホテルができた中関村地区は、IT関連企業やベンチャーキャピタルが集積。アプリを開発する新興企業などへの投資も多いとされ、減速がささやかれる中国経済にあっても活気がある地区といえる。