原発輸出、有望事業相次ぎ中止 政府支援も不透明感増す (2/2ページ)

 トルコでは、三菱重工やフランスのメーカー、アレバなどの企業連合が13年、黒海沿岸のシノップ原発の建設契約で大筋合意した。現在は事業化調査段階で「来年春くらいまで時間を要する見通しで、着工スケジュールなどは未定」(三菱重工原子力事業部)という。

 ◆拡大には多くの課題

 だが、トルコは反対運動が激しい上、政情不安や地震対策、事業の収益性などに問題が多いと指摘されている。

 原発輸出を可能にする原子力協定の調印で注目されるのがインドだが、動きは少ない。

 インドの原子力損害賠償法に、設備の建設や機器を提供した業者にまで原発事故の賠償責任が及ぶとの規定があるためで、「大きなリスクを取ってまで参入できない」(日立)、「損害賠償法の問題があり引き続き状況を注視する」(三菱重工)と慎重だ。

 米国に新規原発建設の動きはなく、多数の原発建設計画を持つ中国への外国企業の参入は困難。ロシアの国営企業ロスアトムは、燃料供給から原発の建設と運転、廃棄物の処理などを一貫して引き受ける手法で売り込みを図っており、日本企業の海外原発事業拡大にはさまざまな課題がある。

 巨額な投資が必要になるだけに、長期にわたり安定的に電力を買い取る仕組みなど受け入れ国側の政策、初期投資への支援や貿易保険など日本政府のバックアップが欠かせない、との見解で原発輸出関係企業の見解は一致している。

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