日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉で、EU側が乗用車関税(10%)の撤廃を発効6年後に実施する方向で打診していることが13日、分かった。日本車の関税撤廃は交渉での最大の成果になりそうだ。政府内では撤廃実施の前倒しを求める声が上がっており、見返りとして農産品の関税分野で譲歩を迫られる恐れがある。
EUは日本から農産品の市場開放で譲歩を引き出すため乗用車関税の撤廃に前向きな姿勢を見せており、協定発効後、何年で実施するかが焦点になっている。ただ、欧州は独フォルクスワーゲンや仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)など有力な自動車メーカーを抱え、関税撤廃による日本車の流入増に警戒感が強い。
EUは域内の理解を得るため、関税撤廃の見返りとして、競争力があるチーズやワイン、牛・豚肉などの輸出拡大に向け、日本に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)以上の市場開放を迫っている。日本はTPPの合意水準を国内の理解が得られるギリギリのラインと見ており、交渉は難航している。
一方、2011年7月に発効したEUと韓国の自由貿易協定(FTA)では、EUの乗用車関税は5年で撤廃されることになり、既に実施された。このため、国内ではライバルの韓国メーカーをこれ以上有利にしないよう「最低でも韓国と同じ期間に収めるべきだ」との声が出ており、政府はEUに対して撤廃までの期間を短縮するよう求める。
日欧は7月7、8の両日にドイツで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ、EPAの基本的な枠組みを定めた「大枠合意」を発表したい考え。13日にはEUのペトリチオーネ首席交渉官が来日し、今後大詰めの協議に入る。