2番目の条件である地方都市の集積度を高める方策の一つは、自治体が中心部の公営住宅を高齢者中心のシェアハウスに改造することだ。改造後は個室と共有の居間兼食堂兼台所(LDK)で構成する。高齢者の家賃は原則無料などと優遇すれば、入居希望者が集まるだろう。高齢の入居者が農業などの仕事を続けている場合は毎日通勤してもらえばいい。
自治体は高齢者を集めることで、従来よりも少数の要員で介護や医療、福祉サービスを提供でき、行政のコスト削減に役立つ。入居した高齢者も共同生活でお互いに支え合い、世話をし合うことで元気を回復し、一石二鳥の効果が期待できる。米国では地方大学に高齢者用住宅を併設するケースが増えているという。ある大学の併設住宅は、ニューヨーク中心部の高級住宅よりも価格が高い。引退後に学費を払ってでも、大学に通って学び直したい高齢者が増加しているからだ。
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日本でも敷地に余裕がある地方大学が全国から高齢者を集めてはどうか。病気になれば、大学病院に入院でき、体が不自由になれば、大学の近くに整備した老人ホームに入所できるようにすれば、移住する高齢者の安心感も高まる。高齢者は若い学生と一緒に学べば、さらに元気になり、健康寿命も延びる。地方大学は活性化し、地域振興にも寄与するはずだ。
3番目の条件である中間層の拡大は国の役割で、税制と社会保障の一体改革を成し遂げる必要がある。ただ、社会に富をもたらす経済成長は、富の分配よりも重要だ。国は地方の創意工夫を引き出し、経済成長を促すことが求められる。