成長戦略の素案では、AIなど先端技術を使い新事業を生み出す企業を優遇する内容が盛り込まれた。自動運転などの競争領域では既に勝ち残りに向けた投資が活発で、人口減の国内でも購買や配達の自動化など生産性を向上させる活動が急だ。産業をITが変革させる「第4次産業革命」は民間主導で急速に勃興しつつあり、政府が規制緩和などで後押しできるかが鍵となる。
AIが競争力を大きく左右するのが自動運転やロボットだ。AIは機械の司令塔であり、その性能で商品力に差が付くからだ。トヨタ自動車は自動運転の強化を目指し、AI研究に5年間で総額1000億円以上を投じる。ソニーはロボット事業への再参入を目指して米AIベンチャーに出資した。
AIや、あらゆるものをネットワークでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」は、人手不足が深刻な業界の仕事のあり方をも抜本的に変えつつある。
コンビニエンスストア大手のローソンはAIを使った発注システムを導入。AIが最適な数の弁当やおにぎりなどを発注するため、人手が減らせる。カジュアル衣料品店「ユニクロ」も商品開発や在庫管理にAIを導入。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「将来的には店舗に顧客が来店した際、AIを使って、お薦め商品をスマートフォンに示すサービスも始めたい」と話す。